ANGLE、バーチャファイター2を語る(前編)

今や知らない人はいない世界を代表するゲームメーカーSEGA(セガ)。
家庭用ゲーム機を投入したばかりの時期は”マニア向けゲーム”というイメージが

強かったセガのゲームでしたが、現在は初心者からマニアまで楽しめる幅広いライ

ンナップが発売されています。
そんなゲームの中で、最も有名かつ人気があるものの1つが『バーチャファイター

』(以下VF)シリーズでしょう。
93年12月、シリーズはスタートしました。
当時はカプコンの『ストリートファイターⅡ』シリーズ(以下ストⅡ)、SNKの『ザ

・キング・オブ・ファイターズ』シリーズ(以下KOF)等でアーケードシーンはすっ

かり格闘ゲームブームでした。
細部まで描き込まれたスプライトキャラに見慣れたゲーマーには『VF』の紙細工の

ようなキャラクターは奇異に映ったと思います。
実際私も「静止画としての画面」なら「変」の一言で終わったと思います。
が、『VF』の凄さは見た目ではなかったわけです。
そう、動き。
本当の人間のような滑らかな動作には度肝を抜かれました。
(ちなみにモーションキャプチャーが使われていたのは勝ちポーズ時のみとのこと

。殆ど手作業だったんですね……)
でも、本当に凄いのは「入力」だと私は思っています。
『VF』に最初に触れた頃「思ったとおりに動く」と思いませんでしたか?
KOF』や『餓狼伝説』の超必殺技のような「出そうと思ってもなかなか出ない」コ

マンドとは違って、『VF』の技の数々は「こんな技を出したい」と思って、適当に

操作したら、それらしい技が出ませんか?
これが一番のポイントです。
実はゲーム開発時にコントローラーの入力の調査を行ったのだそうです。
どういう入力が多かったのか統計を取り、それを元にコマンドにはめこんでいく、

そういう手法が取られていたんです。
お気付きだと思いますが、通常とはまるで逆のプロセスです。
普通格闘ゲームを作る時は「こういうコマンドにしよう」と開発者側が考えてプロ

グラムしていくわけですから。
これにより、キャラクターとの一体感が生まれ、まるで自分の分身を動かしている

ような、プレイしていて気持ちいいゲームに仕上がっているわけです。
これだけ斬新な『VF1』でしたが、実は私、登場時は殆どプレイしていません。
というのも、根っからの家庭用ゲーマーで、ゲーセンではあまりプレイしない人なものですから。(その頃まででまともにプレイしたのはクォースファイナルファイト、一連のストⅡシリーズのみ)
そして、1994年11月待望のセガサターン版『VF』が発売されました。
友人宅でプレイして大ハマリ。
こんなに面白いゲームがあるのか!と狂喜乱舞でした。
「サターン買う!」と誓った瞬間でもありました。
この次点で『VF2』の移植も決まっていましたが、当初は内心「本当に出るのか」と皆半信半疑でした。
とりあえず『VF1』が遊べれば満足とも思っていました。
サターン版1でこれ以上無い盛り上がりだと、その時は思っていたのですが、恐らくゲーマー人生最高の盛り上がりだろうというお祭り騒ぎがこの後やってくるのです。

以下後編へ続く。