ANGLE、『バーチャファイター2』を語る(後編)

凄まじいまでのスペックで登場したアーケード版『バーチャファイター2』。
映像が圧倒的にパワーアップしただけでなく、秒間の描画枚数も約倍に増え、全編的にモーションキャプチャーの技術が導入された為、非常に滑らかにリアルにキャラクターが動きました。
登場キャラクター数も増え、個々の技、連携技も増え、操作感覚はさらに洗練されていました。
ゲームバランスも絶妙で、どこに文句を付けたらいいのか分からない程でした。
「これ、本当にサターンで出るの……?」
サターン版の画面写真が公開されるまでの間、半信半疑の状態が続きました。
そう、画面写真が公開されるまでは。
ファミ通に掲載されたサターン用新OS(当時そう呼ばれていましたが、実際はライブラリのようです。)上で動くパイの演舞画像を見て、不安は完全に消し飛びました。
「アーケードそのままだよ!」
こうなると発売当日買えるかどうか不安になってきました。発売日が決まるなり予約したのは言うまでもありません。
お祭り騒ぎが始まりました。
ソフトバンクから発刊されていたセガサターンマガジン(現在のドリマガ)という、ややマニア向けの雑誌では、『VF2』の開発状況が詳細に紹介されていきました。
毎号毎号、友人達と一緒に穴が空きそうな位、画面写真を隅から隅までチェックしたものです。
キャラクターのモデリングの完成度が徐々に上がっていく様、コリジョン(当たり判定)が入り、連携技が再現されていく様を。
少しずつ完成に近づいていく様子を製作者の方達と共有しているかのようでした。
おこがましいことを承知で言えば、一緒に作っているかのようですらありました。
このような体験は後にも先にもありません。
私を含めて多くの人が待ち望んでいたからこその現象だったと言っていいでしょう。
待望の発売日、遂にこの日が来たのかと感慨深くすらありました。
サターン版はきちんとテクスチャーマッピングが施されたキャラクターがアーケード版とほぼ同じ秒間60フレーム表示で描画され、背景も2Dのグラフィックをスクロールを駆使することで再現しており、正にハードの限界に挑戦した移植度でした。
ポリゴン数が少ないとか、微妙に操作感覚が違うとか、アーケード版をやりこんだマニアの中にはそういうことを言う人もいましたが、あの時期にあの完成度で出してくれたことは驚異であり、大抵のユーザーは感謝すらしていたはずです。
今考えても恐ろしく出来が良く、ゲームのコアの部分においては、今回発売となったPS2版に迫る内容と言って差し支えないと思います。
当時のサターン版移植フィーバーを知る人にとっては、今回のPS2版は待望の登場だったようで、ネット上で熱く語っている方も大勢いらっしゃいます。
当時サターンユーザーではなかった方、今こそ体験して欲しいです。
最後に一言。

「十年待たせたな!」

SEGA AGES 2500 シリーズ Vol. 16 バーチャファイター2

SEGA AGES 2500 シリーズ Vol. 16 バーチャファイター2